緑のあくまで深く、天水の雨音は大地に響き、雲の足は時を待たず。知ると知らざると人の命は仏の命、唯有ることのみ、唯生きている。人は不安の旅人である。己が命の何物かを知らず、運命の波間に浮かぶ小船のようである。不安の故に焦り、恨み、悔やみ、涙する。生きる事に疲れ、望むことに疲れ、失望の空を見上げてため息をつく、心の中で呟く、私のことなど誰も分かろうとしない。時間の狭間で呼吸して、虚しく言葉を選び生きている。何者も信じがたく、又人知れず生きる事も許されず、虚しく微笑みをたたえて日々を過ごす。時と共に老いは迫り、病を起こし、迫りくる死を待つ。孤独と不安を紛らわせようと目に麗しいものを求め、耳に優しい声を求める。愛し寄り添う人を求め切なく生きる。生きる事の重い荷物を誰もが背負い苦悩する。かの仏陀その人も苦悩の末に道をみいだした。苦と苦の生起と安楽とその実践、そこから仏法は始まる。心さびしき人、苦悩多き人、仏陀の慈悲を望め、仏に帰依せよ。転法の功徳を信ぜよ、法に帰依せよ。清浄なる僧伽に帰依せよ。閉じた世界は涅槃への道を開く。